クローン猫誕生に思うこと
1997年にイギリスのグループが初めてクローン羊の作成に成功し、世間を騒がせるようになってから5年が経ちました。その後、現在までにマウス、牛、山羊、豚などの動物でクローン作成に成功しています。そして2001年12月22日、世界で初めて核移植によるクローン猫が誕生しました( Nature 415, 859 (2002))。写真右の仔猫が、写真左(a)のクローン猫です。(写真右(b)の親猫は子宮を提供した仮親)
上図はTAEYOUNG SHIN, DUANE KRAEMER, JANE PRYOR, LING LIU, JAMES RUGILA, LISA HOWE, SANDRA BUCK, KEITH MURPHY, LESLIE LYON & MARK WESTHUSIN, Nature 415, 859 (2002), Nature AOP, Published online: 14 February 2002; DOI: 10.1038/nature723より引用しました。
この写真をよーくみると、面白いことがわかります。そうなんです、遺伝的には完全なクローンにも関わらず、なんと毛の模様や色がちょっとばかり違うのです。もちろん、よく似ていますが、微妙に違います。この結果から、毛の模様や色のパターンは完全に遺伝的に決定されているわけではないということが判りますね。

それにしても、クローン技術の進歩の早さには驚くばかりですが、はたして「クローン猫」を作る目的はいったいなんなのでしょうか。非常にガッカリしたことに、この成功を報告した論文の中では、この技術の意義や目的などについて何の説明もありませんでした。私も生物の研究をしている者として、その結果には興味や興奮を覚えますし、その有用性については思い当たる節もあります。希少動物の保護に携わっている方には、朗報となるかもしれませんし、様々な基礎研究の発展にも繋がるでしょう。それでも、これだけ生命の根底を揺るがすような技術が、相談もなしに(笑)進んで行くことに、危惧を感じるのは私だけではないでしょう。少なくとも、この雑誌の編集者は、この点についての説明を著者に求めるべきだったと思います。

これをお読みになった皆さんは、どう思われるでしょうか。

2002年3月3日「ソロモン王の指輪」管理人